平成29年(ろ)第208号東京簡易裁判所平成29年8月10日判決
・事案の概要:前刑(万引き)で懲役1年10月・3年間執行猶予の判決を言い渡された後、1年程しか経過していないにもかかわらず、フィギュア1個(販売価格1万1000円)を万引きした40代男性による同種万引き再犯事案です。同一店舗での余罪多数あり、本件被害品は直ぐに換金するなどしていました。ただ、その背景には、被告人が罹患している自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害、大鬱病性障害、脳機能障害(前頭葉機能障害、情動障害)などの疾病性や被告人の幼少期からの非常に厳しく特異な体験が影響していることが明らかとなりました。東京簡裁は、被告人の疾病性が本件犯行の原因の全てではない旨を判示しつつ、被告人の内妻の指導監督が期待できること、被告人が専門機関の治療プログラムを受けていること、被害者との間で余罪を含めた示談が成立し、被害者が宥恕していること等を理由として社会内での最後の更生の機会を与えてくれました。
・弁護の結果:懲役1年執行猶予5年保護観察付き。
被告人が実践している治療プログラムや内妻の指導監督に対する期待をしてくれた裁判官や弁護側の書証に同意してくれた検察官の期待を裏切ることがないように被告人を見守っていきます。